安全な階段2(踏面・蹴上編)
前回の安全な階段1(形状編)に続き、今回は階段の「踏面・蹴上」や「勾配」についてです。
階段の断面図を見ると、踏面(ふみずら)・蹴上(けあげ)・段鼻(だんばな)・蹴込(けこみ)の寸法があります。
階段の寸法を解説したホームページなどを見ると
「550mm ≦ 踏面+(2×蹴上) ≦ 650mm」
と説明があります。
私も当初は、この数式さえ満足していれば、上り下りしやすい安全な階段だと思っていました。
上の階段で計算すると
- 左の階段:踏面:300mm+(2×蹴上:150mm)=600mm
- 右の階段:踏面:200mm+(2×蹴上:200mm)=600mm
と同一の600mmになります。
この階段の図を見ると、誰でも左の方が上り下りしやすく、右の階段の方が急であることがわかると思います。
「550mm ≦ 踏面+(2×蹴上) ≦ 650mm」は、人の歩幅を考慮した計算式であり、階段の「勾配」については考慮されていません。
勾配についてはバリアフリー性能で、「踏面/蹴上」が「基本寸法:22/21以下」「推奨寸法:7/6以下」となっているのが参考になると思います。
参考サイト:建物性能の基礎知識/バリアフリー性能、フラット35/バリアフリー性に関する基準(高齢者等配慮対策等級3)の概要
我が家の場合、1階と2階のフロア差が2753mmで15段の階段になりますので、蹴上は約183.5mmです。
「踏面/蹴上=推奨寸法:7/6以下」で計算すると、踏面は約214.1mm以上必要となります。
なので、我が家は踏面は220mmを採用しましたので、
踏面:220mm+(2×蹴上:183.5mm)=587mm
となり、範囲内に入っていて、どちらかと言うと若干歩幅の狭い方に合った階段となるようです。
では、まとめてみましょう。
- 踏面(ふみずら)
上り下り・勾配に深く関係し、最低でも195mmは確保とするべきで、できるだけ200mm以上は確保しましょう。
踏面の寸法が短いと、階段から下りる時に足先が外れて危険です。
注意:踏面は階段の段板の前後長(踏面に蹴込を加えた値)ではありません。 - 蹴上(けあげ)
上り下り・勾配に深く関係し、小さい(低い)と上りが楽になります。
個人的には、200mmは高いと思います。(古い家は200mmを超えているケースが多いです。旧我が家もそうでした。) - 蹴込(けこみ)
20mm前後が多いと思います。
階段の「段板(だんいた)、踏み板(ふみいた)」の前後長を稼ぐために、蹴込の値を無理に大きくすると、下りの時に危険です。(妻の実家の階段の一部がそのようになっていました。) - 段鼻(だんばな)
あまり気にしていませんが、段鼻の突出しが大きいと、上り時につまずきの原因となります。
階段は意外と面積を占有するので、上記値をクリアするのは難しいですが、一度施工をすると変更するのが難しいのが階段です。
あなたの安全・快適を実現するために、階段の設計に少しでも役に立てば幸いです。
次回は、安全な階段3(階段幅、手すり編)を投稿する予定です。
【追記】
階段の「踏面・蹴上」について説明しましたが、玄関まわりのステップについては、こちらの値は少しあてはまりません。
玄関まわりでは靴を履いたり、土や雨ですべりやすかったりしますので、最近多い300mm角の玄関タイルのサイズに合わせて「踏面:300mm・蹴上:150mm」が標準だと思います。
【お詫び】建築学を学んだことのない私が作成した記事ですので、間違った内容が含まれるかも知れません。間違った内容のご指摘やご意見などがあれば、コメントお願いします。
タグ:階段
階段でバリアフリーのことは考えなかったなー(^。^;)
介護必要になったら一階で、として計画しましたよ。
バリアフリーまでは考えなかったのですが、安全で楽な階段を実現したかったのです。
[…] 作業中の様子を見て、蹴上が高いと感じたので確認してみると、20cmで施工中でした。 […]